社員にのんびりと仕事をさせることができる職場は、残念ながらこのご時世には存在しないでしょう。一人ひとりに多くの仕事が課されているにもかかわらず、「働き方改革」としてさらに「効率」や「時短」を求めることでやりくりしているのが実情ではないでしょうか。

 

デトロイトトーマツコンサルティングが実施した働き方改革に関する企業調査によれば、働き方改革に取り組んでも「従業員の満足を得られなかった」企業が4割を占めています。

そして、経営層と従業員のコミュニケーション不足が「働き方改革の効果に従業員が満足できない要因のひとつ」であると分析されています。

働き方改革のための生産性の向上が、従業員からは単なる利益確保と受け止められ、共感を得られていないといいます。つまり、業務内容を見直さず、労働時間だけを短くすることは、働く人の負担を増してしまうのです。

 

経営者には、社員の立場に立った取り組みが求められます。では、あなたには社員の立場を理解できている自信、ありますか?

この記事を読んで、ぜひ確認してみてください。

 

働き方改革に対する意識をチェック

まず、筆者が以前お伺いした現場でのあるエピソードを紹介したいと思います。このエピソード、あなたはどう感じますか?

 

 

「探し方が足りないよ」

ある小売店で、先輩アルバイトが後輩アルバイトに言った言葉です。

 

多くのアルバイトスタッフを抱えるこの職場では、モノを探すのは日常茶飯事。

しかし、毎日のようにシフトに入っている人もいれば、ダブルワークで週末など少しの時間しか入れない人もいます。この店舗に限らず、職場には経験値の高い人もいれば未経験者もいるわけです。

筆者は黙ってその場を見ておりましたが、結局、後輩アルバイトに代わって先輩アルバイトが探しに行っていました。

 

似たような言葉として、別の現場で

「ちゃんと探した?」

というのも聞いたことがあります。これは、正社員がアルバイト社員に向けて言った言葉でした。

 

さて、あなたはこれらのエピソードをどう感じましたか?

たとえ現状、あなたの職場の整理整頓ができていなくても問題ありません。違和感を覚えたのなら合格です。

しかし、もし何の違和感も覚えなかったとしたら、非常に大きな危機感を持ってください。

 

 

社員が萎縮していては働き方改革など実現しない

 

上で紹介したエピソードでは、「モノを探す」という行為に時間が費やされてしまっています。時間がもったいないですよね。

できれば社員たちにはイキイキと楽しく仕事をしてもらいたいもの。しかし、探し物の時間はおそらくイキイキと楽しい時間ではないでしょう。

 

さらに、「モノを探す」という行為によって社員が萎縮しているとしたらどうでしょうか?

 

忙しい中、相手の手を止めてモノのありかを確認せねばならないことが、社員にストレスを与えていることに気づいていますか?

モノのありかを尋ねられることは、尋ねられる側はもちろん、尋ねる側にも多くのストレスがかかります。ましてや尋ねる相手が先輩社員であれば、それだけでも萎縮してしまいます。

仕事とは全く関係ないコトで萎縮してしまうのです。萎縮した社員に本来持っている力を出させるのは至難の業です。

 

経営者がまず行うべき働き方改革とは

 

経営者がすべきこと。それは、

職場環境を整えること

なのです。

実は「たった」それだけのことで、社員のストレスを大きく減らすことができるのです。

 

とある企業の調査によると、社員一人が探し物に費やす時間は1日15.1分であると出ています。

はたして、「探す」時間は労働時間なのでしょうか。

  • 1日の活動時間:平均9.17時間(550分)
  • 人件費:平均23,324円/日 → 641.5円に相当
  • 実働240日の企業に当てはめると、1人当たり年間153.960円
  • 社員100人だと、年間153,960円×100人=15,396,000円

 

つまり、

「15,396,000円」

のお金を毎年ドブに捨てていることを肝に銘じてください。

 

社員が仕事をしてくれることは、経営者にとってはありがたいこと(当たり前のこと)ですが、常に効率や時短を求められる社員にとっても、整った職場環境で仕事ができることはありがたい話なのです。

モノのありかを覚えることは「仕事」ではありません。社員には本来の「仕事」を覚えてもらうことが重要です。

経営者として、社員に「仕事」をさせてあげるための環境を整えましょう。

 

働き方改革に必要なのは「仕組み」

 

正すべきは社員の意識だけではありません。一人ひとりに「整理整頓を心がけよ」「デスクの上をキレイにしなさい」などと、ただ表面的な言葉を投げかけているだけでは何の解決にもなりません。

社員にイキイキと楽しく仕事をしてもらうためには。
萎縮せずに社員に仕事をしてもらうためには。
効率よく時短で仕事をしてもらうためには。

 

そのためには、

仕組みを作る

ことから始めましょう。

 

モノを使ったら元に戻せる仕組み。
担当者が休んでも(変わっても)困らない仕組み。
探さなくても分かる(推測できる)仕組み。

 

経営者が知っておくべきこと。

それは、社員が、さも仕事をしている風に探し物をしている時間は生産性の上がる時間ではない。つまり、「探す」時間は「仕事」ではない、ということ。

前にも書いた通り、年間15,396,000円をドブに捨てていることを考えれば、仕組みを作ることを本気で考えるべきであると筆者は考えます。

社員が働きやすい環境作り(仕組み作り)こそが、時短や効率アップ、生産性の向上へと寄与するのです。

 

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